2014年7月20日日曜日

海外不動産投資:ロンドンで新築分譲マンションの販売営業トークを聞いた





CBREという大手の不動産業者からロンドンの不動産投資についてお話(7月11日)を伺いました。

CBREというのは全く知らなかった会社です。

滞在したホテルの近所を探索していて発見した不動産業者に飛び込んで、ロンドンでの不動産投資についてリサーチしていることを説明したら、なぜかこの業者を紹介されました。この不動産業者は賃貸管理と賃貸仲介だけを業務にしていたので売買や投資についてはわからないということでした。

英国ではネットで投資物件を探すのかと聞いたら「ネットなんかじゃだめだ。XXとか○○とか△△とかの大手じゃないと」と説明してくれて、彼の知り合いの業者に連絡してくれました。

その業者がCBREの営業マンでした。メールと電話で連絡してアポを取りました。現地の会社で会うことになり、前日に会社の所在を確かめるために下見をしました。

市の中心部の地下鉄駅ボンドストリートから徒歩3分の位置にある立派なオフィスビルでした。受付に二人も女性がいてエスコートの女性がさらに降りてきてオフィスまで案内してくれるという豪華な会社でした。

これは、ちょっとウチが考えていた人たちと違うところに来ちゃったな、と思っていたら案の定でした。

説明に現れた男性はイケメンの営業さんで、新築のマンションの売り込みでした。

大画面のプレゼンテーション用のテレビがあるガラス張りの会議室で彼の営業弾丸トークが始まりました。

ロンドンではクロスレイルという新しい鉄道路線が開通する予定になっていて、その路線によるロンドン中心街への通勤時間の短縮が不動産市場に大きなインパクトを与えるらしいのです。

つまり、この新路線の近くからロンドン中心街へ通勤する人たちに買わせるためのマンションを開発しているわけですね。

日本と同じです。

都心への利便性が良い(と思われる)路線の駅付近を開発して販売するという手法は世界共通でしょうか。

大きく違うところがひとつありました。

転売益を得る目的でマンションを買うシステムができているのです。

この業者の説明によるとマンション購入の際、払う金額は物件価格の10%で良いということ。竣工の直前にならないと住宅ローンは組めないらしいということでした。

これはどういうことかというと、竣工まで数年間の期間に物件が値上がりすることを期待しているのです。竣工直前の最も価格が上昇した瞬間に転売して利益を得るつもりなのです。

もし頭金10%分を払った時点より物件価格が10%上がっていたら10%分の利益を得るということです。

しかし、もし下落していたらどうなるのでしょうか。

当然、損をしますし、足りない分を追い銭しなければならなくなります。

竣工の直前にならないと住宅ローンは組めないというのはこういうカラクリがあるからです。この時期に物件価格が上がっていたら「売り」で、下がるか同等なら住宅ローンを組んで保持するという選択ができるのです。

現在のロンドンの不動産マーケットの状況では「上がる」しか考えていません。

営業マンは物件価格が「上がる」ことを前提にこれから数年先に竣工するマンションを売りつけるのです。

これは中古の収益不動産を買って家賃収入というインカムでキャッシュフローを積み上げる手法とは別物です。

ようするに、この手法では、どんなに高い物件でも頭金の10%を入れる資金力と下落した際に耐えられる財力プラス胆力があれば良いのです。

現在、中国、シンガポール、中東などから、世界中の富裕層がロンドンの不動産市場にお金を投入しているそうです。ここで売り込みを受けたマンションも外国人が買っているそうです。

基本的にキャピタルゲイン狙いの投資を実施している訳ではないので、このようなお話を聞いていると、全く違うプレーグラウンドという感じです。

お金を動かせる規模の桁数が2桁以上違うという感覚でしょうか。

営業マンは、この取引で最大のリスクは「仕事を首になること」だと言いました。

しかしながら、ご心配はありません。

なぜならマンションの竣工時期には物件価格は必ず上がっていますから、転売すれば、あなたは損することはありません。

これがトドメの営業トークのようでした。

「今買えば、あなたは絶対損しませんよ〜」

不動産の価格変動に「絶対」などというものはありません。

「ないものをあるかのように想像させて売り込む」

詐欺師のようですが、売買契約書に書いてあることを納得して買ったら詐欺は成立しませんよね。

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